H30年度予備試験論文式 一般教養 再現答案

 一般教養 評価:A 所要時間:45分

 

第1、設問1について
 「再配分」とは、いったん配分された資源や富を持つ者から持たざる者へと配分することである。具体例としては、現在日本で採られている、所得税などの累進課税制度が挙げられる。特徴としては、持つ者と持たざる者とを区別した上で、金銭的な平等を目指していることが挙げられる。
 「承認」とは、差異を肯定的に扱うことであり、金子みすゞのいう「みんなちがって、みんないい」を体現することである。具体例としては、LGBTレズビアン、ゲイ、バイセクシャルトランスジェンダー)などを第3、4,5,6、・・・の性別として認めていくことが挙げられる。特徴としては、各人の差異を尊重した上で、皆を観念的に平等に扱う点が挙げられる。
第2、設問2について
 筆者と同様に、社会正義の実現のためには「再配分」と「承認」の両方が必要であると考える。なぜなら、そのいずれか一方では救われない人が存在し、完全な社会正義の実現はできないと考えるためである。
 具体例として、LGBTの人々には、「再配分」ではなく、「承認」が必要である。LGBTとしての生き方を認めることこそが、その人々にとっての社会正義の実現につながる。心が女性で体が男性のトランスジェンダーの人が公衆トイレで男性用と女性用のどちらに入るか、といった問題は「再配分」では解決せず、男性の格好をした人が女性用トイレにいたとしてもそれを認める社会の「承認」によってしか解決されない。
 また、身体障がいにより満足に働くことができない人に対しては、確かに「承認」も必要であるといえるが、「再配分」により金銭的に救われない限り満足な生活を営むことができないといえ、「承認」のみでは救われない。
 このように、「再配分」と「承認」のいずれか一方では救われない人々が存在するため、全体的な社会正義の実現のためには、その両者が必要であると考える。   以上

 

【コメント】

・設問2の具体例は、一つの例で「再配分」・「承認」の片方では足りないことを示したかったが、そのようなものが思いつかなかったため、二つ具体例を挙げることにした。