学位授与機構で法学士を取得しよう

 ご無沙汰しています。久しぶりの更新となってしまいました。

 この前(12月15日)、学位授与機構の小論文式試験を受けてきました。今回は、学位授与機構で法学士を取得するまでの道のりを書き残しておこうと思い、記事にしました。

 

 

0、経緯

 こちらの記事で書いた通り、私は大学を退学して飛び入学ロースクールに進学しました。その後、ロースクールも中退して司法修習へと進んだため、私は法学士も法務博士(専門職)も有していません。

 だから何なんだってはなしではあるのですが、アメリカのロースクールに留学するとなった場合には不利になり得るらしいので、せっかくならば学位をとっておこうと思い、学位授与機構を使って法学士を取得してみることにしました。

 

※以下の記載は2019年秋バージョンの話であり、以降変更点があるかもしれません。

 以下の記載は新しい学士への途2019年度版(https://www.niad.ac.jp/media/005/201902/no7_5_gakushi2019.pdf)(PDF注意、4.2MB)に基づくものです。

 

1、出願

 学位授与機構を使う場合の最初の関門は出願です。

 学位授与機構で学位を取得することができる人には様々な類型があるのですが、この記事を読んでくださっている方で実際に学位取得を考えている方は「大学の学生として2年以上在学し62単位以上を修得した者」の類型に当たると思います。

 その類型に当たる者は、学部・法科大学院などを含めて、累計124単位以上の取得が必要とされます。また、そのうちの24単位が法学に関係しない科目、62単位以上が法学に関係する科目である必要があります。

 法学に関係する科目でも、

 ○公法学に関する科目(8単位以上)
 ○民事法学に関する科目(16 単位以上)
 ○刑事法学に関する科目(8単位以上)
 ○基礎法学に関する科目(4単位以上)
 ○国際関係法に関する科目(4単位以上)
   をそれぞれ含んでいる必要があります。

 ここで2点注意が必要です。まず、法学に関係しない科目の24単位ですが、これには主に語学や一般教養の単位となると思います。私は学部で一般教養の授業を最低限しか受けていなかったため、この単位が24単位ギリギリでした(笑)。学習成果(後述)を既に作り終えた後の出願ぎりぎりで気が付き、冷や汗をかいたので、最初に確認しておくのがよいと思います。

 もうひとつは、基礎法学や国際関係法に関する科目を履修しているかです。私は基礎法学に関する科目を学部で一切履修していなかったため、ロースクールで4単位取得するはめになりました。この点も確認しておくべきだと思います。

 また、どの科目がどの類型に該当するかの判断は、一次的には出願者に任されており、出願者の判断で各類型に当てはまるかをチェックします(この作業がとても面倒です)。しかし、その後、学位授与機構の方で当該単位が当該類型にあてはまるのかを再度チェックするようなので、出願者の判断と学位授与機構の判断が食い違ってしまうと、最悪の場合出願要件を満たさなくなってしまいます。

 この点について、事前に当該単位が各類型のいずれに当たるかを確認できないかを学位授与機構に問い合わせたところ、それはできないとの回答がされたので、この点は出願の際の不確定要素になってしまいます。

 

2、学習成果の作成

 出願要件がそろっていることを確認したら、学習成果を作成します。

 学習成果とは、レポートのことです。10~17頁のレポートを提出しなければなりません。このうちの1頁は参考文献リストとなるので、本文9ページ+参考文献リスト1頁の合計10頁のレポートを出せば足りることになり、現に私はその最小構成で出しました。

 法学士ならば、法学に関することならばテーマはなんでもよいみたいです。

 私はH29年のだまされたふり作戦と詐欺未遂罪についての判例をテーマとしました。

 

3、小論文試験

 学習成果を提出したら、小論文試験を受ける必要があります。

 小論文試験の問題は、各出願者それぞれ違うオーダーメイドで、学習成果の内容の理解度を問うものになっています。

 私の問題は、

設問1、あなたは学修成果においてH24年決定とH29年判例は矛盾しないとしていますが、「結果」に対して因果性を有しない/有するとする理由を、「結果」を明示した上で説明してください
設問2、H29年決定の事案において、詐欺罪の未遂犯が成立するとする理論的説明をしてください

 といったものでした(再現度80%)。

 学習成果を結構ちゃんと読んでいるな~という感想でした。

 形式は、シャーペンで解答用紙に横書きで記載する方式で、字数制限はありませんでした。 

 この評価がなされた後、いろいろとOKだったら法学士をゲットできることになります(結果は3月末に発表されるみたいです)。

 ちなみに、出願手数料は3万2千円です。

 

4、まとめ

 いろいろと結構面倒です。

 私のお友達のもちづき(@mochi_law)さんも学位授与機構についての記事を書いていますので、参考にしてください(https://note.com/mochi_law/n/n06ba2692d0be)。

 

5、追記(2020.2.25)

 2020年2月21日付で無事、学士(法学)を取得できました。

 学位授与機構のホームページによれば、3月末までには結果が出るとのことだったので、思いの他早く結果がでました。

 

 以上です。質問等あれば気軽にコメントしてください。