平成30年度予備試験口述式試験再現[1日目民事]

 平成30年度予備試験口述式試験(1日目の民事)の再現問答です。

 予想点数は60点です。我ながらかなりレベルの低いやりとりをしてしまっているので、温かい目で読んでやってください。

 

 

質 問

答 え

内心の動き

 はい、今からパネルの事案を読み上げますので、聞いてください。

(パネルを読み上げる。パネルの中身は伊藤塾などの口述再現集をご覧ください・・・)

 では、事案は分かりましたか?

はい。

主債務者が保証人を代理して保証契約を結んでもいいのか?などと考えていたらあまり事案が頭に入ってこなかった。

XはZに対して保証債務の履行を請求する訴訟を提起しました。

 その際の請求の趣旨はどうなりますか?

被告は、原告に対し、200万円を支払え、となります。

これは言える。

 では、その際の訴訟物は何ですか?

はい、保証契約に基づく保証債務履行請求権です。

これも言える。

 そうですね。

 では請求原因事実はどうなりますか?

えーと。

まず主債務の発生原因事実として、Xは、Yに対し、平成○○年〇月〇日、本件彫刻を代金200万円で売った。

そして、えーっと。

Yは?Xは?・・・Xが、えーっと、YがXと・・・?

そーですね・・・

うーん・・・

主債務の発生原因事実はまあOK。

その後、誰が契約の当事者であるかについて頭の中がこんがらがり、軽くパニックになる。

ほんとにパニックになるのだな、と思い思わず笑ってしまう。

1分以上混乱していたと思う。

(苦笑)

あなたは今何について言おうとしてますか?

代理について言おうとしています・・・

そりゃ苦笑いするしかないわな。

 はい、そうなんですけれども。

えーっと。

YはXとの間で、本件売買代金債務を保証する旨の契約をした。

そして、その契約はZのためになされた。

その契約について、先立って保証契約の締結についての代理権の授与がなされた。

その契約は書面によりなされた、です。

少し落ち着いていきた。

 そうですね。

 では、Zは高価な絵画を所有していますが、それ以外にめぼしい財産を有していないことをXは知りました。

 この場合、XとしてはZに対する訴えを提起する前にいかなる手段を講じることが考えられますか?

 

はい、絵画に対する仮差押え命令の申立てをします。

 

これは言える。

 はい、その際にXとしては主債務の存在を疎明することが必要なんですけれども、本件において売買契約書が存在していませんでした。

 その場合、Xはどのようにして売買契約の存在を疎明すればよいでしょうか。

はい、えーっと・・・。

本件は彫刻について売買がなされているので、その受取の際に検品として写真が撮られているかもしれません。その場合には、引渡しの時点の日付の入った検品の際に撮られた写真により疎明することが考えられます。

疎明って言われちゃった。

 

契約書くらい作っとけよ。

全く分からないけど、物的証拠として残ってそうなものを適当に言ってみる。

 他には?

他にですか・・・

はい、Yが本件彫刻を受け取った時に受領書を作成していると考えられますので、それにより売買契約の存在を疎明します。

一生懸命ひねり出したのに、「他には?」ってなんだよ。

そんなにポンポンと出てきていたら苦労しない。

 うん、その受領書っていうのはどういうもの?

Xがあらかじめフォーマットを作成しておき、そこにYが受け取った際にサインをもらうといった形のものです。

適当に言ってみる。

 うん。となると、Y名義の文書になるってわけね。

はい、そうです。

 

 

言われてみればY名義ですね。

 他にない?

えー、そうですねぇ・・・

 

苦労して出した後に「他には?」って聞かないでくれ!!

 えーっと。本件みたいな売買契約っていきなり締結されるのかな?

いえ、事前交渉のようなものがあると思います。

 

ナイス誘導。最初からしてくれ。

 そうだよね。そうすると?

はい、仮にその事前交渉がメールなどで行われていれば、その文面をプリントアウトしてそれにより疎明します。

仮定的な事実を付加しすぎだよな、この質問。

 そうですね。

 ではパネルを裏返してください。

 事案を読み上げます。

(事案読み上げ)

本件でXが請求原因として110条の表見代理の主張をしようとしています。110条には規範的要件があるのですが、何かわかりますか?

はい、正当な理由です。

正当な「事由」か「理由」かが分からなかったので、あいまいな発音で押し通した。

 何についての正当な理由ですか?

はい、代理権を有していたと信ずることについての正当な理由です。

正当な「理由」が正解か。

こんな感じだっけ。

 そうですね。その場合はどのような事実を主張しますか?

評価根拠事実に当たる具体的な事実を主張します。

 

 はい、では、本件で、正当な理由の評価根拠事実に対する再抗弁としての評価障害事実をZは主張すると思うのですが、具体的にはどのような事実が考えられますか?

はい、まず、印鑑証明書の日付が1年前であり古いものであるということを主張します。

とりあえずこれかな。

他には?

えーっと、そうですねぇ。

委任状の「彫刻」という記載がアバウトで、本件彫刻についての委任があったか怪しい、ということを主張します。

だから「他には?」って聞くな!!

全くわからなかったから、当てずっぽうで言ってみる。

 そうですか。

 では、Zとして、Xの請求に対する抗弁となるような事実は何かありますか?

はい、XがYに対して主債務である売買代金債務の免除の意思表示をしているので、これにより主債務が消滅し、保証債務の付従性により保証債務が消滅したと主張することが考えられます。

これは詳細に言ってあげるね。

 そうですね。

 では、XがYに対して債務免除の意思表示をした際に、その場にBが立ち会っていたとします。

 Bは海外赴任を1か月後に控えており、出国するとその後2,3年は帰国しない見込みです。

 ZはXによる債務免除の意思表示があったことを証明するためにはどうすべきでしょうか?

はい、証拠保全としてZの証人尋問を申請します。

証拠保全ってあったよな。

うん、それもあるけど、証拠保全するにも結構時間がかかったりするんだよね。

そうしますと、Zの弁護士が直接Bに話を聞きに行き、その内容を陳述書として証拠とすることが考えられます。

なんだ、証拠保全はいまいちなのか。

陳述書ってワードを出せば大丈夫だろう。

 はい、そうですね。

 では、パネルの下を見てください。

 読み上げます。

(読み上げる)

この場合、Zの訴訟代理人であるQがYの訴訟代理人を引受けることにつき弁護士倫理上の問題はありますか?

はい、利益相反が問題となります。

えーっと。

27条の3号か28条の3号かで一瞬戸惑う。

 条文見ていいよ。

ありがとうございます。

えーと。28条3号です。

戸惑いを察してくれた。

 そうですね。

 YとZとの間にどのような利益相反が生じるのですか?

はい、XがZに対する訴訟で勝訴した場合、ZがXに対して200万円を弁済することになりますが、その場合にはZがYに対して求償債権を得ることになりますので、そこでYとZとの間に利害対立が生じるといえます。

求償って言っておけばOKか。

 では、Qとしてはどうすべきでしょうか?

はい、辞任します。

やっぱ辞任っしょ!

 どっちも辞任するの?

うーん、そうですねぇ。

やはり将来的に利害対立が生じる可能性があるのであれば、両方とも辞任すべきなのではと思います。

両方ともを受けないのはなんか違う気がしてきた

 まあそれもひとつではあるけど。

 でもQは先にZの代理人になってるんだよ?

確かにそうですね。

では、QとしてはYに対してそのような利害対立が生じる可能性があることを説明します。

そのうえで、自分は受任することができない旨を伝えます。

説明すればOKなのかな。

 Yのは受任しないんだ。

そうしたらYはかわいそうじゃない?

他の弁護士を紹介します。

 

 (笑い)

 まあそうだね。

 つまり、利害対立が顕在化する場合を説明するということですね。

はい!

顕在化ってキーワードがあったなあ。

 副査、何かありますか・

 (副査、首を横に振る)

 では終わります。最後ということで、お疲れ様でした。

いえいえ、こちらこそありがとうございました。

待ち時間が長いのは本当にくたびれた。

マジでお疲れ様。