H30年度予備試験論文式 民事訴訟法 再現答案

民事訴訟法 評価:F 所要時間:60分

 

第1、設問1について
1、Xは、YがZ社を無権代表したとして無権代理人の責任の履行(民法117条1項)としてYに対して売買代金500万円を請求する訴訟を提起する。Zに対しては、YだZ社を代表して売買契約を行ったとして売買代金500万円を請求する訴訟を提起する。そして両訴訟について同時審判の申出(41条1項)をすることが考えられる。
(1)同時審判の申出が認められるためには、訴訟の目的である権利が法律上併存し得ない関係にある必要がある。
(2)本件では、YがZを代表してXと売買契約を結んだか否かという点で、両者は二者択一の関係にあり、法律上併存し得ない関係にあるといえる。
(3)したがって、Xは上記の手段によることができる。
2、また、XはYとZに対する訴えについて、Yを主位的被告、Zを予備的被告として明文無き主観的予備的併合の方法による訴えを提起することが考えられる。
 しかし、明文無き主観的予備的併合が認められると、主位的被告に対する請求の如何によって左右される予備的被告の地位が著しく不安定となるため、これを認めるべきではない。同様の役割は、同時審判申出訴訟により果たすことができるため、あえて認める意義も乏しい。
 そのため、明文無き主観的予備的併合による方法は認められない。
第2、設問2について
1、結論として、可能であると考える。
XのZに対する後訴において、前訴における判断である、買主はZであるとの判断の効力を用いることができれば、XのZに対する請求は認められることになる。
(1)前訴の判断を後訴に及ぼすものとして、まず、前訴の係る判断の既判力が後訴に及ぶかを検討する。
 この点について、審理の簡易化・弾力化の観点から、既判力は訴訟物についての主文の判断についてしか生じない。
 本件の上記判断は、理由中の判断にとどまるため、既判力は生じず、既判力によりかかる判断の効力が後訴に及ぶことはない。
(2)次に、かかる判断につき原告被告の主張立証が尽くされたことを理由として後訴における拘束力を認める、いわゆる争点効により、前訴の判断を後訴に及ぼすことが考えられる。
 しかし、争点効は明文のないものであり、その範囲もあいまいであるため、認めるべきではない。
(3)では、信義則(2条)により前訴の理由中の判断の拘束力を後訴に及ぼすことはできないか。
 この点、訴訟の紛争解決機能を維持すべく、実質的な紛争の蒸し返しとなる場合には信義則(2条)を適用して拘束力を認めるべきであると考える。
 これを本件についてみると、YとZ社は、YがZ社の代表取締役をしている点で同一人格と解することが可能であり、後訴において前訴と矛盾する主張をすることは、禁反言の原則に反するといえ、信義則に違反するといえる。
 そのため、信義則により、前訴の理由中の判断を後訴に及ぼすことが可能であるといえる。
(4)もっとも、YとZは実質的には同一人格であるとはいえるが、形式的には別人格である、そのため、Yに対する前訴の効力をZに対する後訴に及ぼすことはできないのではないか。
 この点、原則として前訴の判断の拘束力は当事者にしか及ばない(115条1項1号参照)。
 しかし、信義則の適用により、前訴判断の拘束力の主観的範囲の拡張が可能であると考える。
 これを本件についてみると、YとZ社は実質的には同一人格である、前訴においてZ社への手続保障は尽くされてるといえる。
 そのため、前訴の判断を後訴に及ぼすことは可能であると考える。
2、以上より、Xは、後訴で、Yを被告とする訴訟の判決の効力を用いることは可能である。
第3、設問3について
1、152条1項による口頭弁論の分離は、原則として裁判所の裁量に委ねられている。
 しかし、かかる裁判所の裁量が制限されることはあり得ると考える。
2、本件では、いったん口頭弁論が併合された以上、Xとしては事実上とはいえ、合一確定の期待が生じていたといえる。しかるに、裁判所が弁論を分離すると、Xとしては二つの訴訟に両負けする可能性が生じることになり、Xの期待を著しく害する。
3、そのため、いったん口頭弁論を併合した以上、Xのかかる期待は保護されるべきであるため、これが裁判所の裁量を狭める事情になるといえる。         以上

 

【コメント】

・自分でも何を書いているかよく分かっていない。

・設問2は、なぜか参加的効力を書くべきでないと判断した。

・納得、堂々のF