法科大学院への飛び入学
久しぶりの更新になりました。今回は、法科大学院へ飛び入学することの是非について書いていきたいと思います。
0、私の現状
私は関西の私立大学を3回生で中退し、京都大学法科大学院に飛び入学しました。
その後、既習2年次で予備試験に合格したため、司法試験受験資格を得るという意味では法科大学院に通う(法科大学院を卒業する)意義は無くなりました。クラスメイトなどで予備試験に受かった人の大半は法科大学院を中退するので授業も出席せず、後期の期末試験も受けないことになっていますが、私は後述する理由から授業にも出席し、期末試験も受ける予定です。そして、その後の今年の司法試験を受験する予定です。
私は今、ある悩みを抱えています。それは、法科大学院を中退すべきか否かです。この悩みは、今後同じ悩みを抱く人が出てくる可能性があると思っているので、記事にしてみたいと思います。
1、飛び入学とは
法科大学院への飛び入学は、一般的に所属している大学を中退して法科大学院に入学することになります。これに対して、早期卒業とは、卒業単位を取りきって、所属する大学を卒業してから(主に法科大学院に)進学することをいいます。
大学ごとに制度に違いがあり、①早期卒業制度がある大学、②早期卒業制度は自校の法科大学院に進学する場合のみ利用できるとする大学、③早期卒業制度がそもそもない大学があります。
飛び入学によって法科大学院に進学した場合、大学を中退することになるため、たとえ卒業単位を取りきっていたとしても、法学士をもらうことはできないということになっています。
私の大学は②のタイプだったため、私は法科大学院進学に際して大学を中退することになりました。そのため、法学士を有していません。
2、法科大学院を卒業する意義
法科大学院在学中に予備試験に合格した場合、法科大学院を中退するか卒業するかを悩むことになります。3年次で合格した場合、せっかくだから卒業して法務博士(専門職)をとっておくか、という気になる人が多いため、中退する人は少ないと思います。他方、上述のとおり、2年次で合格した人の大半は法科大学院を中退すると思います。
そして、予備試験に合格した者(主に法科大学院2年次で)が法科大学院を卒業する意義があるのかという点について、私は無いと思うに至りました(勿論両論あると思います)。
理論と実務の架橋という理念がロースクールにはあったかと思いますが、現状の法科大学院はそのようなものとはいえないように感じています(勿論賛否両論あります)。法科大学院の授業は、少なくとも私が思っていたよりもエキサイティングなものではなく、退屈なものでした(勿論賛否両論あります)。
既習2年次で予備試験に合格した場合、次の司法試験に合格すればその年の修習に行くことができますが、法科大学院を卒業するとなれば修習を1年遅らせることになります。確かに、法科大学院には実務に関係しそうで面白そうな科目はたくさんありますが、修習を1年遅らせるほどの魅力はないと感じます(勿論賛否両論あります)。
仮に法科大学院を卒業するとなると、法科大学院卒業からその年の修習まで約8か月の期間が空くことになります。この期間で遊べばいいじゃないか、と言われたりもしますが、同じタイミングで予備試験に合格した仲間が修習をしている中で自分一人がぼーっとしているのもなんだかなあと思ってしまいます。
そうなると、既習2年次で予備試験に合格した法科大学院生が、修習を1年遅らせて法科大学院を卒業する意義は無いのではないかと思います(勿論賛否両論あります)。
3、法学士も法務博士(専門職)も有しないこと
法科大学院に飛び入学をした者が法科大学院を中退すると、法務博士(専門職)を有しないことになります。
それはそれで仕方がないことなのですが、LLM留学などを考えた場合、どちらも有していないことは大きく不利に働くみたいです(学士+司法研修所終了又は法務博士(専門職)がLLMの出願には必要みたいです)。
※追記(2019.4.24)
上に述べたことは一般的な出願基準であって、ロースクールごとで出願要件は異な
ってくるようです。例えば、コロンビアは法学部卒業が必要と聞きました(真偽不
明)。
※追記終わり
他にも、学士の有無を気にする人は気にする、という事実上のデメリットもあるでしょう(笑)。また、他の人は当然に有しているものが自分にはないというのは、なんか不安な感じがしますよね。
4、さてどうするか
私としては、法学士も法務博士(専門職)もどちらも有していないのはまずいと感じました。そこで、これを克服する手段を検討した結果、いくつか候補がありました。
①大学に復学する
復学制度がある大学があります。復学をして単位を取り切れば、大学を卒業して法学士をゲットできますし、修習にも遅れずに行けます。ただし、1年分の学費がかかります。
②3年次前期までに法科大学院の必要単位を取り切り、卒業する
3年次前期までに卒業単位を取り切れば、3年次後期に修習に行くことができるようです。これができれば法務博士(専門職)をゲットすることができますが、3年次前期がクソほど忙しくなり、司法試験の勉強がおろそかになる可能性があること、そもそも単位の登録上限的に不可能である可能性が高いこと(まだちゃんと数えていない)がデメリットになります。
③学位授与機構から法学士をもらう
この方法を用いれば、法学士をゲットすることができます(いささか手続は面倒なようですが)。
法学士をゲットするためには単位の要件(公法系系○○単位、民事系○○単位・・・)があるのですが、私がその要件を満たしているのかがはっきりとしません(基礎法学の単位が足りなさそうなのだが、こちら側でどの単位が基礎法学の単位に当たるのかを判断することができない)。
仮に単位が足りないとなった場合、その単位をどうとるのかが問題になります。
㋐放送大学を使う
これでいこうと思ったのですが、放送大学に基礎法学の科目は開講していませんでした。残念。
㋑大学の科目履修生として単位を取得する
現状、科目履修生になるのは要件が厳しく、無理みたいでした。
㋒法科大学院に3年次前期まで在籍し、基礎法学の科目を履修する
一番現実的なのはこのルートになりそうです。前期分の学費がかかります。
いろいろな選択肢があるのですが、どれも面倒くさいですね。
5、これから飛び入学する人へ
以上を踏まえて、これから法科大学院に飛び入学される方に考えておいてほしいことがあります。
法科大学院はそんなに面白いところではありません(友達はたくさんできてその点は楽しい)。なぜ飛び入学するのか冷静に考えてみる必要があると思います。なんか受けてみたら受かったし、かっこいいから飛び入学しよう、という気持ちはめちゃめちゃ分かりますが、そんなに良いものではありません。周りの人は自分より1年間しっかりと勉強をしてきた人達であり、ライバルとしては手ごわいです。授業についていけなくなる可能性もあります。そういうことまで考える必要があります。
②飛び入学するとして、予備試験を受ける気があるのか、仮に合格したらどうするのかを考える。
予備試験に合格しても俺は法科大学院を卒業するぞ!!という気持ちは私にもありましたが、その気持ちは変わる可能性があります。そこも踏まえて考えるべきです。
③自分の将来を考えて、法学士も法務博士(専門職)もない場合にデメリットが生じないかを考える。
④保険として、大学を中退するまでに学位授与機構から法学士をもらえる単位要件を満たすような履修の組み方をしておく。
どれも私ができなかったことです。だから、今になっていろいろと悩むことになっています。これから飛び入学をする人は、是非考えてから飛び入学してほしいです。
6、さて、ここまで書いてきたのですが、ここになって、法学部と法科大学院併せて5年になるというニュースを思い出しました。その制度ができると、私のような悩みを持つ人はいなくなるのかもしれません。そうなると、この記事の存在意義は無いのかもしれません(笑)・・・
長文失礼しました。同じ悩みを持つ方、これから飛び入学される方、何かあれば気軽にコメント下さいね。
以上です。
2020.02.28追記
結局のところ、私は学位授与機構から学位をもらうことにしました。こちらの記事も見てみてください。